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池澤夏樹さんの「ホモ・エックス」

前回のブログの続きです。
その前に、「幸せのカギ・・・」をアップした翌日(15日)の新聞に、一旦急上昇した日本株が、すぐに暴落したのは、1週間も前から周到に準備していた海外ヘッジファンドのせいだたった、という記事が載っていました。

株価だけが「景気」ではないのに、そのことが強調され過ぎてはいないかと、報道のあり方に懐疑的でしたから、その記事を読んで、それみたことかという感じでした。と同時に、そうした利益だけを目的にした投機マネーが、世界経済を支配しているように思えて末恐ろしくもなりました。

実は、「幸せのカギ 低成長にあり」の記事と同じ紙面に、池澤夏樹さんが「ホモ・エックスとの共生」という文章を載せていました。その2つの記事を見比べながら同時並行的に読んだのですが、2人の価値観、考え方が、根っこのところで繋がっているように思え、とても興味深く読むことができました。

池澤さんの文章は、「今、この地球上にはホモ・サピエンスとは別の知的生命体が棲息している。仮にこれをホモ・エックスと名付けてみよう」で始まり、その上で「ホモ・エックスは生命の定義を満たしている。外部から隔てられた内部空間を持ち、代謝を行い、時には分裂したり統合されたりし、個体として生まれて個体として死ぬことできる」と説明しています。

さらに、ホモ・サピエンスとホモ・エックスの共通点、差異、対立点などを説明した上で、「いちばん大きな問題は、彼らと我々では倫理が異なるということだ」と述べています。

さて、ホモ・エックスとは何のことだか見当がつきましたか?私は皆目見当がつきませんでした。
実は法人、もっと簡単に言えば営利を目的にした株式会社の類いのこと、を言っているのです。

その種明かしを読んでから、もう一度読み返してみると、なるほど・・・すべて納得できました。

最近企業が不祥事を起こすことが増えていますが、その度に会社の重役が揃って頭を下げ、再発防止に努めますと謝罪しています。何度「再発防止」を聞いたことでしょう。そして、その都度、企業の「品格」が問われもしています。

企業ですから利益を追求するのは当然のことです。しかし、ついこの間までは、闇雲に追求するということはなかったようは気がします。地域社会や消費者の生活をより豊かにするためにといった、企業なりの「品格」があったように思うのです。そして、社員はみんな家族、その社員の生活を守ることも企業の倫理だったはずです。

それが、いつの間にかこんな時代になってしまったのでしょうか。ヘッジファンドなんて、倫理とは無関係の最たるもののような気がします。なのに、違法行為でない。
オイルマネーのような行き場のない金が、世界中を席巻し、実態経済とは関係なく、世界中を支配するようになってしまったのが今の時代、そろそろ戻ることを考えないと手遅れになり兼ねません。
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